#637 直感の先にあるもの

2026/07/25 23:08

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#637 直感の先にあるもの

「”直感”は人を幸せにするためにある」

教え子たちに、口癖のように伝えている言葉だ。

初めて旅行で与論島を訪れた。何のリサーチもなく直感で選んだホテルは「青海荘」、そこのホテルの目の前には与論島マラソン、ハーフマラソンのスタート&ゴール地点があった。
調べてみると与論島の周囲は約24km。私の直感がここでも働いた。

「島一周の与論島ハーフマラソンやるしかないやん」

と与論島2日目の朝にやることを決めた。3泊4日(1泊目は沖縄)の最終日の早朝から走るなんて、、、嫁も心配そうに声をかけてくれた。でも「やると決めたらやる」のが私の信条。

最終日5時起き、5時半スタート。

持ち物は“400円”と”熱い気持ち”のみ。笑
島の険しさをこの時はまだ知らなかった。

走り出して気付いた、「与論島って坂が多い」平坦な海岸線を想像していたが、実際は激しいアップダウンの連続。7km地点まで4’30″前後で刻んでんだが、途中から体調に異変が、、、

容赦なく照りつける太陽。逃げ場のない湿気。水分と塩分が枯渇し、足が鉛のように重くなる。これまで一度も経験したことがないほどの倦怠感に襲われ、ついに足が止まった。走り続けることを断念し、トボトボと歩き始める。

9km地点で自販機があり、やっと水分補給ができた。

そこからは、自分との対話だった。

「なぜ、こんな苦しいことをしているのか」「リタイアして嫁を呼んでもいいんじゃないか」

そんな弱気な声が頭をよぎる。しかし、極限状態に追い込まれたことで、普段は意識すらしない「当たり前」の存在に気付き始めた。

「日陰」の尊さ。

普段は「太陽を浴びたい」とさえ思うのに、この日ばかりは数メートルの街路樹の影が、神様からの贈り物のように見えた。

「自動販売機」の有り難み。

都会ではどこにでもある無機質な機械が、この島国では命を繋ぐライフラインだった。

「水」の感動。

ジュース好きの私が、ただの一口の水にこれほどまでの生命力を感じたことはない。喉を通り、細胞に染み渡る感覚。その冷たさに、震えるほどの感謝が溢れた。

何も持たずに飛び出したからこそ、手に入れた瞬間の喜びが最大化される。「有り難い」とは、文字通り「有ることが難しい」ことなのだと、細胞レベルで理解した。

ラスト3km。足が動かず、うつむき加減で歩いていた私を、一人の島のオジーが軽やかな足取りで抜いていった。

「こんな暑い中、大粒の汗を流して走れるあんたは、最高にかっこいいよ」

その一言がまた私の心に火をつけた。

オジーの背中を追う私の走りは、スタート時とは違うものになっていた。ただのトレーニングではない。苦しみを受け入れ、感謝を知り、一歩を踏み出す。そこには、確実に「アップデートされた自分」がいた。

キツかった。やめたかった。でも、やめなかったからこそ、この景色が見えた。この感覚が、また私を強くする。

確信を持って、もう一度自分に言い聞かせる。

「”直感”は人を幸せにするためにある」

https://note.com/kohey41/n/n9074d1afad1c