#680 名城線ランから見えた世界

2026/09/06 22:44

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#680 名城線ランから見えた世界

夏休みが始まる前、校長先生から全校生徒へ「有言実行」と「不言実行」の違いについて話があった。

「自分で宣言したことは、プライドもある。だからこそ、何としてもやり遂げようとする。この夏休みは、“有言実行”であってほしい」

私は、そんなメッセージとして受け取った。そして、夏休み初日の会議。

校長先生から、「この夏休み中の有言実行は何?」と聞かれた。私は即答した。

名古屋生まれ、名古屋育ち。趣味はランニング。特性は、常に体を動かすこと。性格は、普通の人がやらないことをやりたがる。そんな自分が、いつか必ずやりたいと思っていたこと。

「名城線一周ラン(約30km)」

これを、私は高らかに宣言した。

そして、7月30日。ついに「名城線一周ラン」を決行した。7時30分、上前津駅をスタート。反時計回りに、28駅。名古屋市をぐるっと一周しながら、「生まれ育った名古屋」を自分の足で堪能した。

12km地点から始まった地獄。走ってみて、一番きつかったのは、11駅目の八事駅(約12km地点)から16駅目の自由ヶ丘駅まで。まさに地獄だった。(笑)

距離的にも身体的にも、ちょうど一番きつくなるタイミング。
そこに、追い打ちをかけるようなアップダウン。

「なんでここで坂なんだ……」

何度もそう思った。でも、不思議なことに。そんなきつい上りを乗り越えた先にある下り坂が、めちゃくちゃ気持ちいい。

足は重い。呼吸も苦しい。それでも、坂を下り始めた瞬間、「うわ、気持ちいい。」と思った。そのとき、ふと思った。ずっと平坦な道を走ることの方が、実はきついのかもしれない。

きつい「上り」があるから、「下り」が気持ちいい。苦しい時間があるから、爽快な瞬間がある。頑張ったからこそ、ゴールしたときに嬉しい。これって、人生も同じなんじゃないか。

「山」は、勝手にはできない。以前、元日本代表監督の岡田武史さんと、元メジャーリーガーのイチローさんが、似たようなことを話しているのを聞いた。

今の時代は、昔のように大人が子どもに厳しくできない。だからこそ、「自分で山をつくらなければならない」という趣旨の言葉だった。

今回の名城線一周ランを走りながら、その言葉を思い出した。
たしかに、自分からわざわざ30km走る必要なんてない。
わざわざ坂道の多い区間を走る必要もない。家でゆっくりしていたっていい。でも、自分で「やる」と決めた。

そして、やってみた。もちろん、きつかった。でも、その「きつさ」があったからこそ、下り坂が気持ちよかった。その「きつさ」があったからこそ、ゴールが嬉しかった。そして何より、「やる」と言った自分との約束を守れたことが嬉しかった。

走って、“学び”がない日はない。7時30分に上前津駅を出発して、名古屋の街を走り続ける。最後はテレビ塔を目指した。
生まれ育った名古屋を、自分の足で豪快に一周する。普段、車で通っている道。電車で通り過ぎている駅。何気なく見ていた街並み。

それを自分の足でつないでいくと、いつもとは全く違う景色に見えた。そして、やっぱり思う。走って、“学び”がない日はない。体力のこと。自分自身のこと。苦しいときのこと。そして、人生のこと。走ることでしか気づけないことが、きっとある。

次は、東京へ。名城線一周を終えて、次にやってみたいことができた。「山手線一周ラン」約35km。舞台は、名古屋から東京へ。

今度は、日本の首都を自分の足で一周してみたい。またきっと、途中で「もうやめたい」と思うだろう。またきっと、きつい上りがある。でも、それでいい。山があるから、下りがある。苦しさがあるから、爽快感がある。乗り越えたからこそ、見える景色がある。

自分で「山」をつくる。そして、その山を一つずつ越えていく。そんな夏休みの「有言実行」になった。

次は、東京で。また、自分で山をつくってみよう。