#157 手紙
2025/04/01 13:44

▼Inuyama Basketball Club U-12
~飛向の愉快な仲間たちへ~
最後の練習を見に行きたかったのだけど、仕事の都合でどうしても行けないものだから、チームの皆へ伝えたかったことを手紙に残します。
僕から君たちに贈った、ひとりとりのポスタービジュアルや、卒団式に上映したムービーにもあった、それぞれの名前の記し方には、僕が密かに込めた想いがありました。ローマ字で書かれた名前の中に、一文字だけ正しくない文字が混ざっていたことに気づいていただろうか。これが、最後に君たちへ伝えたかった想いです。
突拍子もない話をするように感じるかもしれないけど、少しの間辛抱して下さい。
栃木県日光市に、日本で最も長くトップに君臨した将軍が祀られる神社があります。その豪華 絢爛で優美な装飾が癒された建造物の中に、1箇所だけ「逆さ柱」と呼ばれる、柄や形が天地逆さになっている、“欠陥”のある柱があるんです。
作った人が間違えた?いえ、これは意図的に、わぎと施された“永遠の未完成”なのです。「未完の美学」と言われたりもします。日本では昔から「完成は崩壊のはじまり」という考え方がありました。
つまり、「未完成であり続けることで、ずっと繁栄し安全を守り続けたい」という願いが、この逆さ柱には込められていたのです。僕は、この思想を君たちにも残したいと思いました。
僕は君たちより四半世紀も長く生きているけれど、未だにちっとも自分が思い描くような人間になれないし、今でも人から叱られることだってあります。でも、あるとき。諦めずに精進することを止めないことが、一番大切なことだと思うようになりました。
君たちは、バスケットも、人生も、これからが本番です。きっと今まで以上に、楽しいこともあれば、大きな壁に直面したり、悔しい、苦しい結験をするかもしれない。それでも、自分が常に「道半ば」「まだまだこれから」と思っていられたら、きっと前に進んでいけるはずです。逆に、どんな成功をおさめたとしても、「もっと〇〇できるはすだ」と謙虚な気持ちを忘れずにいてほしいと思います。
ずっと、“未完成”であり続けて下さい。
最終戦は写真を撮りながら、君たちがたくましく成長した姿を目にして心振るわされました。これから、もっともっとたくましてなった君たちに、また会える日を楽しみにしています。
最後に。飛向を君たちの仲間にしてくれて、本当にありがとう。このチームの一員になっていなかったら、いまの飛向はいなかったと思います。彼をここまで成長させてくれたことを、心から感謝しています。 梅村晃一













